7. 小型スーパーでもうひと革命
現金商売のうま味
アメリカには手形という商習慣がない。だから物を買う人は現金、小切手、もしくはカードで支払いをする。商売人が物を仕入れるときでも、まず手付金として何がしかの金を払ってくれ、品物ができあがって納入するとすぐに残金を支払ってくれる。売った代金をすぐに回収できるから、物をつくる人はそれをあてにして次の計画をたてることができるのである。
日本で手形商法になれた私の友人の一人がアメリカに現地法人をつくって、自社製品の販売をはじめた。業界新聞に広告を出したら、アメリカだけでなく、中近東あたりからも注文が入ってきた。契約が結ばれると、買手は五〇万ドルとか一〇〇万ドルとか、ポンと現金で手付金を払ってくれる。一方、日本の親会社に対する注文は信用状をひらき、品物が到着するまでは一文も払わないでよいから、高金利の折でもあり、受け取った手付金はそのままアメリカの銀行に預けて高い金利を稼いでいるそうである。
「おかげさまで子会社の下請けをして、稼がせてもらっています」
と、その人はニコニコ笑っていた。
もし同じアメリカや中近東の顧客が日本の商社に注文をしたとする。商社は現金で手付金を受け取っていても、自分のほうが出す手付金は三カ月の手形で支払うし、できた商品に対しても同じように三カ月の手形で支払いをする。
商社はもともと手数料のほかに、この金利分も利益の一部として計算しているのだから、そんなことは当然だといわれるかもしれないが、メーカー商売をやっている人は、その分だけ金利をコストとして見込まなければならないし、金繰りも考えなければならない。だから手形があれば、その分だけ資金繰りがラクになるというけれども、他人にも同じことを強いられるから、結局は、手形なしの場合と大差ないといってよいだろう。
しかし、そうはいっても、手形制度が現実に罷り通っている社会だから、自分だけ手形を受け取らないといっても、世間には通用しない。どうしても頑に拒否すれば、商取引きは成立しなくなってしまう。
そこで、手形商売で痛い目にあったことのある人や、どうしても手形商売はコリゴリだという人は、手形商売を断念して現金だけで成り立つ商売を選ぶ。手形が主流をなしている世の中でも、探せば現金商売というものはあるものなのである。
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