隙間を狙う小型スーパー
大型店が大型店をつくっていけないとなれば、大スーパーは悪性競争を免がれることができる。その分だけ余力ができるから、人口過疎地域で経営する小型店はどうつくればよいか、工夫することになるだろう。都市周辺のスーパーは次第に大型化して、大型店が中型店を圧倒するようになったが、スーパーは大型店でなければ成り立たないということはない。
私の知っている人で、大型店と大型店の谷間のようなところに、店舗面積一〇〇坪の小型スーパーをつくった人がある。スーパーのお客は大体、半径五〇〇メートル以内に居住している人々であるが、敷地の関係で、大型スーパーが五〇〇メートル以内に二軒以上集中している場合もあれば、逆にどっちからも五〇〇メートル以上離れているために、真空地帯になっているところもある。そういうところに、駐車のスペースを広めにとった一〇〇坪の売場のスーパーをつくったら、何と年に五億円も売上げがあがるようになったのである。
一〇〇坪で月に四〇〇〇万円の売上げがあれば、採算は充分に成り立つ。ただしこれだけの売上げをあげるためには、生鮮三品もちゃんと売らなければならない。ということは、たとえ規模が小さくても大型店でもっとも売れる品物を揃えるようにすれば、ふつうの家庭の毎日の必要品はほぼ賄えるということであり、スーパーは小型でも充分、成り立つということを意味する。セブン・イレブンとかボックスといった安売りの小売店は、すぐれて都会的なものであるが、もう少し野暮ったい田舎向きの小型店をつくって、田舎町に展開するようにすれば、田舎町のスーパーの存立があやしくなるような大変革をひきおこすことになるのではないか。
ちょうど土地の暴騰のあとで、あわてて国土法を成立させたが、今日、国土法が足枷になって思うように土地の開発ができなくなってしまった。それと同じように、経済の原則を無視して「大規模小売店舖法」をつくったことが、零細小売業者の意に反して流通革命を全国的に推進するきっかけになるであろうと私は見ている。
とすると、日本の国の中小企業で一番数の多い小売流通業の世界で、一番大きな変革が起こるだろうということになる。小売店の中でも、すでにスーパーに商売をとられてしまった店は多い。スーパーにとってまだ未開発の過疎地帯向きの小型スーパーが今後、開発されたら、田舎の小売屋がさらに整理されるから、要らない小売屋さんの数はさらにふえるだろう。田舎では農業が危機に瀕しているだけでなく、流通業も大半が閉店の憂き目を見るところまで来てしまっているのである。
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