9. 攻める側か攻められる側か
斜陽産業の中の栄枯盛衰
いままでやってきた商売がなかなか黒字にならない。もしくは、いままではよかったのに、突然、商売が赤字になって、この先どうしたらよいのか、思い迷うようなことが起こる。その場合、この商売を思いきってやめてしまったほうがよいのか、それとも継続したほうがよいのか、判断する基準はどこにおいたらよいのであろうか。
すぐ誰の頭にも浮かんでくるのは、斜陽産業というコトバであろう。斜陽化すれば、どんな有能な人が経営しても、頽勢(たいせい)を挽回することはできない。たとえば、石炭、造船、映画、繊維といった産業は、日本では二十年も前からすでに斜陽産業といわれてきた。どうして斜陽と目されるようになったか、業種によって必ずしも理由は同じくないが、大ざっぱにいうと、
(一)代替するものが出現してきた分野。たとえば、石油が安価かつ大量に供給されれば石炭は斜陽化する。テレビが普及すれば、家の中にいてタダでテレビドラマが見られるから、映画が動員できるお客の数は激減の一途を辿るといったことである。
(二)需要の伸びが鈍化したのに、供給はますます容易になり、万年、過剰生産に悩む業種。たとえば、繊維はいくらでも増産できるが、売上げは頭打ちになってしまった。また人を運搬する仕事は、飛行機や自動車に奪われたのに、船や電車の生産のスピードはますますあがっている。だから海運も鉄道も伸びがとまってしまい、それをつくる造船業も車輌製造業も斜陽産業といわれるようになってしまった。
(三)時代の変化によってお金の儲からなくなった業種。たとえば、鯨取りが国際的に禁じられたために成り立たなくなった捕鯨業。材木が育つまでに時間がかかりすぎる造林業。だんだん人が来なくなってしまった温泉宿。つくっても値段が安いために採算にあわなくなった養蚕業。さては、ついこの間までわんさと金を借りる人がいたのに、新規の投資がなくなって、預金と貸金の利ザヤがせばまってきた銀行業までが、斜陽産業の中に数えられるようになっている。
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