これらのいずれかに属する業種は、逆風の中で船を進めるようなものであるから、どうせ従事するならば、避けて通るにこしたことはない、といわれている。しかし、斜陽産業の中には、需要が全体として伸びなくなったとか、供給過剰が圧力となって金が儲かりにくくなったとかいったものも含まれているから、一概に全部駄目ということはできない。
繊維のごときは、私が株に手を染めた二十数年も前から斜陽化が叫ばれてきているが、いまに至るもまだ立派に成り立っている企業がたくさんある。原料をつくる化繊メーカーや紡績会社は総じて業績が悪化しているが、ファッション界をリードするデザイナーの中には近年、メキメキと頭角を現わしてきたものが多い。
造船は海運の低迷によって斜陽産業の仲間入りをしたが、石油が暴騰すると船の構造自体を変えなければならなくなったので、また新しい需要が生じてきた。
映画産業や演劇産業は、テレビにすっかり客をとられて産業界の成長からとり残された観があったが、他の産業も成長がとまると、一足先に成長がストップしただけに、生き残り作戦の先輩格という感じになってきた。商売は大きくないけれど、小屋を満員にすることができ、収入が製作費をオーバーすればちゃんと商売として成り立つ。大資本と伍して、中小プロだって立派に生き残っているのである。
また小売商売は、デパートやスーパーやさらには通信販売や戸別訪問販売の攻勢の下で斜陽化の一途を辿っているが、閉店する企業があるなかで次々と新しい小売屋が派生している。衣料品の小売屋は業績不振におちいっているのが多いが原宿が飽和点に達したかと思えば、「何となくクリスタル」の街、代官山でセンスの違った店が続々と店開きをしている。
だから、斜陽化斜陽化というけれども、全体としての統計数字で指摘される斜陽化と、一つ一つの企業の栄枯盛衰はまた別のものであるということができる。
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