その点、中古車業とまさに正反対の位置にあるのが不動産業であろう。土地の売買にも当然、目利きとそうでないものとの差は出てくるが、土地は少々くらい人にだまされても時間がたつと自然に値上がりする。だから、投機に走りすぎて金繰りができなくなるほど借金するようなやり方さえしなければ、目がさめるたびに財産がふえるから、グズでもノロマでも何とか守り抜くことができる。
かつては自動車も土地もともに高値の商品であり、ともに人気の的であったが、一方は工業的にいくらでも生産可能なものだから値下がりするようになり、もう一方は生産できないものだから、世の中が豊かになるにつれてますます値上がりするようになった。したがって、どっちのショウバイをやった人が財をなしたかというと、今日になってみればその差は歴然としている。
しかし、中古車の業者の中でも自分のショウバイの欠点にいち早く気づいた人は、自動車を売って稼いだお金でさかんに土地を買った。たまたま中古車の置場として広大な敷地が必要だったから、少し賢い人は駐車場の土地を借りる代わりに、銀行へ行ってお金を借りてきて土地を手に入れた。
たったこれだけの違いが、中古車のショウバイが思わしくなくなったときに、破産する人と他に転業できる人と大きく分ける分岐点になったのである。
現に、私の友人で自動車の販売からはじまって土地の売買に転じ、そのほうで大をなした人がいる。
どちらにしても、中古車の売買というショウバイは、高度成長が終わりになって、新車すら売行きが鈍化しはじめるとまともに不況の波をかぶるから、お金の儲からない不況業種の中に数えられるようになる。
したがって資本があって競争に耐えられる業者とそうでない者の優勝劣敗が鮮明となり、私のところへ相談に来たような立場の人は、無傷で店じまいができたら上出来で、まず何千万円かの負債を背負ったまま倒産ということになろう。
ただし、中古車商売がすべて駄目というわけではもとよりなく、新車がある以上中古車の供給は後を断たず、何らかの形で必ず売買は行なわれるはずだから、何回かふり落としがくり返された上で、資本があり組織を持ち、経営能力のある業者だけが生き残ることになる。たまたまそのふり落としの過程で淘汰されたものとしてはどう生きるべきか、ということが問題になるのである。
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