またタンスの中が衣料品で一杯になってしまえば、タンスの中の古い衣料をどこかにおっぽり出さない限り、新しい衣料を買う気はしなくなる。そこで流行が重要な刺激剤として登場してくる。セビロの襟を広くしたり逆に狭くしたり、ネクタイの幅も時によって広くしたり狭くする。少し前の洋服を着ていると、あの人、流行遅れの服装をしているなあ、きっと懐具合が悪いんだろうな、と思われるようにする。また昔はきちんとしたセビロだけで間に合ったものを、土曜日の午後は何を着る、テニスに行くときは何を着る、といろいろな場面に応じたバラエティをもたせるようにする。おかげでカジュアルとかスポーツシャツとかいったスタイルがはやるようになり、十年前には想像もできなかったようなスポーツウエアのメーカーが大産業に成長してきた。
ヒマとお金ができると、海外旅行のチャンスがふえる。企業やお役所まで若いスタッフを海外留学に出す。海外留学に出ることがわかれば、語学の勉強ばかりでなく、外国の風俗習慣をおぼえ、人前に出ても恥をかかないですむような訓練をしておく必要が生ずる。外国留学の予備校が新しく生まれ、やがてそれが事業として成り立つほどのスケールにまで成長する。
反対に、家族ごと外国へ派遣される人がふえてくると、日本人でありながら日本語のわからない子弟もふえてくる。そういう子弟を集めて日本語を習う機関も必要になるし、日本人の子弟に英語で教育をする大学も必要になる。そういう学校には、外国からの留学生も入ってくるから、そういう留学生に日本語を教える教育機関がまた必要になってくる。
とにかく新しい社会風潮が起こると、その方向に向かって人も金も集まってくる。するとそこに新しいスキマが生じ、そのスキマを埋める仕事が生まれてくる。そういう仕事の中には、大資本を要し大事業でなければできないものもあるが、大部分はスキマからはじまり、それが大きなスキマになって行く過程で、小さな企業が大きな企業に育って行く。
サラリーマン金融だって、インスタントラーメンだって最初から大産業だったわけではない。だから、どこに新しいスキマができつつあるか、発見することができたら、小資本から仕事をスタートさせることは、いつの時代でも可能なのである。
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