第43回
相談に乗れば本音がきけます

財務相談室なんてものは
どこにもありませんでした。
料金を1時間1万円と定めたのですが、
それが高いのか安いのか、私にもわかりません。
人の話をきいてお金を払うという習慣が
ありませんでしたから、
へーえ、お金をとるんですか、
とびっくりして電話を切った人もあります。

でも人の知恵を借り、時間をとるんですから、
お金を払うのはやむを得ないと考える人もあります。
身内や親戚や親友でも、お金のことは
うっかりうちあけられないと思っている人は
けっこう多いんです。
そういう人が訪ねてくるのですが、
1時間に1万円も払うのですから、
1時間の間にききたいだけのことは
全部きかないと損だとばかりに、
前の日から要件を便箋紙に何枚も書き込み、
私の部屋に入る前から目の色が違っています。

そういう人を相手に午前中に3人、午後に4人も
相談に乗っていたら、どんなタフな人でも
クタクタになってしまいますよね。
私は申し込み順にスケジュールをこなしていたのですが、
申し込みがふえると
2週間も3週間も先になってしまいます。
お客さんのなかには
「そんなに待たされたら、
相談したいことが間に合わなくなってしまいます。
何とか早くできませんか。
特別料金を払ってもいいですから」
と催促する人もおりました。

「すみません。うちは国鉄じゃありませんから
特急料金がないんです」
と言って断わると、うちのオフィスの女の子は
お客さんからさんざ叱られたようです。
向こうの言うことももっともだったので、
私の方が折れて土曜日も日曜日もやることに変えました。
休みの日でも受け付けとお茶を出してくれる女の子に
一人だけ出勤してもらいました。

相談に来る人は千差万別で、
年かっこうも年配から若者まで、男もあれば女もあり、
また大きな会社の社長さんから
八百屋や肉屋や町工場のオヤジさんまで
さまざまの人種がやってきました。
人に相談するためには
本当のことを言わなければなりません。
おかげで私は本当の声を聞くことができました。
こんな勉強はほかではとてもできないでしょうね。





←前回記事へ 2000年4月21日(金) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ