第123回
貯金がバカバカしくなる時代です

もう一つ、貯金をためらわせていることがあります。
いくら貯金に励んでも
財産につながらないのではないかということです。

成長経済の時代にはインフレがありました。
いくら一生懸命、貯金をしても、
インフレで物価が高くなったのでは、
定期預金の金利ではインフレ分をカバーできません。
たとえば、複利計算をして
10年間に貯金が倍になるためには
金利が7%なければなりません。
6%やそれ以下では倍にも届かないのです。

ところが、高度成長時代は
途中に不景気や低成長の時期を挟んだとしても、
10年間で物価が倍にならなかったことは
1回もありませんでした。
地価に至っては、
1年か2年で倍になることも珍しくなく、
私が東京に住むようになってはじめて
田園調布で土地を買った時が坪当り1万円でしたが、
それがバブルの時は1千万円をこえてしまいました。

いくらコツコツ貯金をしても、
これではインフレには追いつきません。
ですから、頭金になるだけのお金が貯まったら、
勇気を出して借金をして
マイホームをつくりなさいとすすめたのです。
インフレが続いてお金の値打ちがなくなったら、
借金が目減りするのですから、
返済が楽になります。

その一方で、土地や建築費が上がって、
その上サラリーも上がれば、願ったり叶ったりです。
私にすすめられて、家を建てたために
拾い物をしたような気分になった人は
1人や2人ではありません。
私自身、そうやって自分の家を建てただけでなく、
貸ビルを建てて財産づくりに役立てたこともあります。

でもそれももう、通用しなくなってしまいました。
家は値下がりして
借金だけが大きくのしかかってくるし、
借金を控えて貯金だけに励んでも、
金利がタダみたいになって
元金がふえる見込みもなくなってしまったからです。
新聞に出てくる情報通信の株価に比べて
一向にふえない自分の貯金帳を見ると、
誰でも不安になるのではありませんか。
不安にならなくとも
少なくともバカバカしくはなる筈です。


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