第125回
土地の稀少性は消えてなくなった

土地は財産ではなくて、
もしかしたら生活に必要な物資の一つではないか、
と私は疑っています。
資本と労働力と土地が経済を成り立たせる
三大要素と教えられて生きてきましたが、
土地がなければ、農作物ができないことは事実としても、
財産としての土地の稀少性は
かなり修正をする必要がありそうです。

日本で高度成長が続いて、
人口が大都会や工場地帯に集中し、
その周辺の土地が値上がりをした時は、
土地の稀少性には説得力がありました。
金本位制が紙本位制になり、
お金の値打ちが疑われるようになると、
土地が頼りにされるようになったので、
「土地本位制だ」と言われても、
なるほどと頷いたこともあります。

やがて土地が値下がりをはじめても、
土地の稀少性が変わったわけではありませんから、
土地神話はなかなか私の頭の中から離れませんでした。
その私が土地神話を見放す気を起したのは
私が上海の浦東にビルを建てるようになってからです。

上海の浦東地区は小平の改革開放政策に従って、
政策的に開発されたところですが、
世界中の資本がドッと押し寄せたので、
上海政府は無計画に進出企業を受け入れ、
陸家嘴という国際金融地区だけでも、
高層ビルが200棟も建ってしまいました。
これだけでも無計画経済だということがわかります。

おかげで家賃が10分の1に値下がりし、
いまも空室が半分以上を占めていますが、
それでもまだ国の資金を使った建設ブームが続いています。

どうしてそんなことができるかというと、
自分たちのふところが痛まないお金を使っているからです。
もう一つには、いままで
1階建てか2階建ての民家を壊して
30階建て、50階建ての建物が建てられているからです。
建ぺい率はいくらでもふえますから
土地の稀少性など、どこにも見当たらないのです。

農地にするなら別ですが、
建物を建てるための土地はいくらでも
空に向ってふくらませることのできる「物」なんです。
土地も石油や鉄鉱石と同じように、
市場の動向によって
いくらでも供給できるようになったのです。


←前回記事へ 2000年7月13日(木) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ