第126回
金は只の「商品」になり下がってしまった

土地が只の「物」になってしまったのは、
金が只の「商品」になり下がってしまったのと
よく似ています。
金は少し前までは万国共通の通貨でした。

通貨としての金貨は持ち運びに不便なので、
どこの国でも紙幣がその代役をするようになりましたが、
紙幣はあくまでも代役ですから
お客の要求に応じていつでも金貨に交換できることを
政府が保証していました。
そういう貨幣制度を金本位制と呼んでいました。
金本位のもとでは、金の裏付けがないと
紙幣を発行できなかったので、
経済のスケールが大きくなると
どこの国でも通貨の不足に悩むようになったのです。

とりわけ輸入がふえて海外への支払いがふえると、
金の保有量が激減しますから、
通貨が不足して物価が下がってしまいます。
デフレになると、景気が悪くなりますから、
経済がうまく廻らなくなり、
金本位制が維持できなくなる国が続出しました。
経済力が弱い国は
どこも金の裏付けのない紙幣を発行して
政府がコントロールするようになりましたが、
アメリカだけが、ニクソン大統領によって
金とのリンク制を廃止するまで
ドルを金の重量と連結させていました。

円は戦後、外貨を準備として
発行できるようになりましたが、
それはドルが金とリンクしており、
日銀がドルを持っておれば、
間接的な金本位制であると一応の釈明ができたからです。
ところが、輸出がふえて
ドルが猛烈な勢いで日銀に貯まりはじめると、
ドルを裏付けに円を発行できるシステムですから、
外貨のふえた分だけ国内の円がふえて
円の大洪水になってしまったのです。

すると、ドルのふえた分だけインフレになって
円の値打ちがなくなってしまいます。
紙幣がふえても、
その裏付けになった金はふえませんから、
昔のことを知っている人は
誰でも金の値打ちが上がると早合点します。
ところが、金は上がるどころか、
逆に値下がりを続けてきました。
金がお金であることを辞めて、
只の商品になってしまったからです。
そう考えるよりほかに
金の値打ちを説明する方法はないのです。


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