第127回
紙で金が買える時代になりました

金がお金として通用した時代が長いので、
誰でも金というとお金を連想し、
お金というと金を連想してしまいます。
それほど金とお金はゆかりが深いのです。

でもいま世界中の国々で通用している紙幣は
紙に金額が印刷されているだけで、
金とはつながりがありません。
お札の値打ちは
その金額で買える品物から逆算されるもので、
もう一つはよその国の通貨との交換レートが決めます。
為替レートは固定されたものもあれば、
市場に任されたものもありますが、
物価と必ずしも比例するものではありません。
為替相場に比べて物価が高いのは
日本の特長の一つでしょう。

どこの国でもお金の値打ちを安定させることは
政府の重要な目標ですが、
どこの国でも思う通りにならないのも、また事実です。
たとえばアメリカは膨大な貿易赤字と財政赤字に長い間、
悩まされてきました。
最近、漸く財政赤字から解放されたと言いますが、
巨額の国債が減少されたわけではありません。
日本では銀行の抱え込んだ不良債権を
政府が肩代わりしているために
国債の発行が急増している上に、
高齢化社会に対処するための出費が嵩んでいます。
先進国から発展途上国に至るまで
世界中の国という国が借金を抱え込んでいるだけでなく、
それが年と共にふえる傾向にあります。

それを見る度に、少し経済の事情に通じた人なら誰でも
いまに猛烈なインフレになって
お金の値打ちがなくなるのではないかと心配します。
紙に印刷したお金だからこういうことになるのであって、
金がお金であった頃はそんなことはなかったと
昔のことを思い出します。
すると、紙のお金を捨てて金を買う衝動に駆られます。
そういうことが定期的にくりかえされて、
金の相場が上がったこともありましたが、
その可能性は全くなくなったと言ってよいでしょう。
金は通貨であることをやめて、
石油や鉄と同じ「物」になってしまったからです。


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