第240回
カラオケってどんな桶ですか

日本料理が日本文化を代表すると私が言った時、
欧米文化に対して
インフェリオリティー・コンプレックスを
感じていた日本のインテリの中には、
妙な顔をする人が結構いましたが、
私は日本料理はフランス料理や中華料理に比べても
決して見劣りのしないすぐれた料理だと思っていました。
フランス料理や中華料理が
料理の技術にたよる料理であるのに対して、
日本料理は素材を生かすことに重きをおいた
別のジャンルの料理だから、
単純に甲乙をつけがたいと見ていたのです。

素材を生かすという意味で、
日本料理にはサシミとかスシとか、
ナマモノを食べる習慣があります。
また熊のテノヒラだとか、
フカのヒレだとかいった山海の珍味よりは、
うちの裏山でとれたタケノコとか、
家の前の川で釣れたアユが
日本料理ではまたとないご馳走なのです。

鮮度のおちた物を食べて
おなかをこわした経験のある人とか
ナマモノになれない外国人に敬遠されることはありますが、
日本人の経済力が世界中から
これだけ評価されるようになると、
日本人が如何にもおいしそうに食べている物を
食べてみたいという好奇心は誰にでも働きます。
またおそるおそる口に持って行ったのが
本当においしいとわかれば、
よその国の人だって日本料理には馴染むようになります。

私が日本料理のブームを予想してから
20何年の歳月がたちましたが、
いまでは回転ズシがパリやロンドンにまで進出して
大盛況を呈しています。
回転ズシが日本料理だというと
異議を唱える人があるかも知れませんが、
それはカラオケは日本文化でないと
いちゃもんをつけるのと同じです。

カラオケが日本で流行しはじめた頃、
台湾に遊びに行った日本人の観光客が
台湾のガイドさんに
「台湾にもカラオケがありますか?」
ときいて、
「カラオケってどんな桶ですか」
とききかえされた現場に立ちあったことがあります。
そのカラオケもいまや世界中を風靡した
日本を代表する文化と言ってよいでしょう。


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