第270回
一流企業は明日も一流とは限らない

日本では中央官庁や一流企業に就職して
立身出世をするのがエリート・コースだと
長い間、思われてきました。
いまでもそう思っている人は多いかも知れません。

一流の就職先は東大をはじめ一流大学の卒業生が
優先的に採用されますから、
そのためには一流大学を目指さなければなりません。
大学は学問をするところではなくて、
就職のための予備校みたいなものですから、
小学校から就職まで人生は物心ついた頃から
試験地獄の連続になります。

それにもめげずどこの家庭でも教育ママが
子供をよい学校に入れようとして涙ぐましい努力をします。
よい学校に入れるのはよい就職先にありつくためです。
とりわけ一流会社に勤めたが、学歴がなかったために
出世コースからはずされて悔しい思いをした親は
何が何でも子供を東大に入れようとして
何回、落第してもまだあきらめなかったりします。
そのために息子が前途を悲観して自殺したり、
家出をしたりした例もあります。

私は頼まれて
一流会社への就職の世話をしたことがありますが、
高度成長の頃は募集に対して
応募が100倍200倍というのが珍しくありませんでした。
そうなるとコネのある人とそうでない人に
大きな差ができますから、
社長のところへはあらゆる知人縁者を通じて
働きかけがあります。
私の知っていた一流会社の社長の奥さんは
就職シーズンになると、
電話のベルが鳴っただけでも
あわててトイレに駆け込んだそうです。
私は私に就職の依頼をした本人や親たちに
一流会社に就職しても優秀な人材がひしめいているから、
入社したあと出世するのが難しいし、
いま一流会社と言われている会社でも
いつまでも一流会社であり続けるとは限らないから
一流会社なんか辞めた方がいいですよと口説きましたが、
なかなかきいてもらえませんでした。
いまになって見ると、銀行などいい例ですよね。


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