第288回
生命の次に大切な物はパスポート

外国旅行をするのに、生命の次に大切なものは
パスポートです。
お金も大切ですが、お金は失ってもカードを使ったり、
一時、友人から借用すれば
その場をしのぐことができますが、
パスポートを紛失すると、
途端に身動きができなくなってしまいます。

うちの家内も私も
旅先でパスポートをとられた経験があります。
家内はパリでハンドバックの外側のポケットに
パスポートを挿し込んだまま道を歩いていて、
ジプシーの子供に財布と間違えられて
抜き取られたのだと思います。
ハダカのままならまだよかったのですが、
立派な皮革のカバーの中に入れたのが運の尽きですね。

パスポートをとられたことに気づいたのが
ちょうどロビションの店で知り合いの女性に
ご馳走になっている時でした。
途端にご馳走どころの騒ぎでなくなり、
家内は泣き出してしまいました。
いまと違ってその時の家内のパスポートは
中華民国の発行したもので、
中華民国とフランスには国交がなく、
大使館もありませんでした。
ご馳走もそこそこに、
午後歩いたサント・ノーレの道へ戻り、
ゴミ箱のフタまであけて
パスポートが捨てられていないか、たしかめましたが、
もちろん、失った物が出てくる筈もありません。

ジプシーがパスポートを売りに行く泥棒市場があって
そこに行ったら買い戻せるものなら
100ドルでも200ドルでも払うのにと
いまいましい思いもしました。
パスポートがないとフランスを出ることも、
次の国に入ることもできませんので、
東京との照会が終るまで足止めをくらい、
最終的には日本大使館の世話になって
シャルル・ドゴールの飛行場を無事離れ、
成田へ戻ってから、入国の特別許可をもらって
自分の家に戻ることができました。
その間、9日間もリッツ・ホテルに泊り、
こちらは気が気でないのに
産油国のプリンスではないかと勘違いされて、
バンクリフト・アンド・アペールをはじめ
宝石屋のパンフレットを
山と持ち込まれた思い出もあります。
パスポートを紛失したらどんな目にあうか書いた
旅行ガイドブックを読んだことがなかったんです。


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2000年12月23日(土)

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