第292回
努力の足りないお土産屋さん

どこの国にも観光客相手のお土産屋さんがあります。
お土産屋さんはズラリと軒を並べていて、
どの店に入っても同じような物がおいてあります。
お土産屋さんは自分で物をつくらず、
仕入れてきて売っているだけなので、
どうしても同じようなものが並んでしまうのです。

たおえば、法隆寺に行っても、東照宮に行っても、
こけし人形を売っています。
仕様が少し違うだけで、
つくっているところは同じですから、
本当はその土地の風土を代表するものではないのですね。
それにいま時、こけし人形をお土産にもらって
喜ぶ人があるのでしょうか。
家に持って帰って
ガラス棚の中にちゃんと飾る人がいるのでしょうか。

温泉町や門前町で売っている
温泉饅頭やもなかについても同じことが言えます。
売っている店とラベルが違うだけで、
中身はどれも似たりよったりです。
観光客が少なくなった上に、
お土産が売れなくなったとこぼす人が多いけれど、
お客の欲しがるものを売っていないのですから、
当たり前のことです。
もし地元産業の開発に意欲があれば、
よそから商品を仕入れてくるのではなくて、
自分たちでお客が喜ぶ土産物を開発すべきでしょう。

もっともこのことは日本のお土産物屋さんにだけ
言えることではありません。
タイに行っても、ベトナムに行っても、
観光地によってバスから下りた途端に
物売りにわあっと取りかこまれてしまいます。
物売りはオトナからコドモまで
みな同じようなものを買え買えとしつこく迫ります。
ガイドさんもお客の買いたくないものを買わせるために、
1日に3回も4回も土産物屋に案内します。
お客が物を買ってくれれば、
リベートをもらえることはあまねく知れわたっています。
どうして世の中に、こんなにも努力しないで
お客がお金を持って来てくれるのを
待ち続ける商売があるのでしょうか。
旅行客は年と共にふえ続けているというのに、です。


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2000年12月27日(水)

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