第376回
ブーメラン現象、いよいよ本流に

上海に行くと、どこを歩いても活気に溢れています。
高度成長の過程にあって、
皆が張り切って忙しく立ち働いているからです。

この10年で上海の平均賃金は3倍になりました。
昭和40年代の東京や大阪によく似ていますね。
でも三倍になったと言っても、大学生の初任給は
やっと1000元(1元は13円)ですから、
日本の15分の1ていどです。
地方に行くと、そのまた半分くらいですから、
中国の平均賃金は日本の20分の1と思ったら
間違いないでしょう。

日本の初任給は大卒で20万円前後ですが、
中堅幹部になると年収が1000万に及ぶ人が
少なくありません。
平均賃金のやすい中国に工場をつくって、
日本から経営責任者や技術者を派遣する場合、
さらに海外勤続手当を出しますから、50パーセント増し、
会社によってはダブルになるところもあります。
そうなると、日本から派遣された幹部5人。
給料が現地従業員の500人分に
相当するようなことが起こります。

現地生産された製品のコストが半値以下に下がり、
とぶように売れてお金が儲かるようになれば、
もちろん、問題はありませんが、
最初は海外から技術導入をして似たような商品の生産を
はじめた現地資本の企業が技術レベルで
日本から進出した企業に劣らない
製品をつくれるようになると、
話はたちまちややこしくなります。

家電製品からオートバイまで、
日本製のコピーからはじまった現地企業が
今では進出企業の半値で、激しい競争をしています。
現地で生産したコストの安い商品でも、
現地資本がつくった商品と現地のマーケットで
競争ができなくなったので、
日本から進出した企業は方向転換をして、
輸出に力を入れるようになりました。
輸出ならお金の回収ができない心配もないし、
アメリカ製や日本製よりまだまだ有利な立場にあったので、
ブーメラン現象がいよいよ目立ってきました。
攻める立場の日本の企業が
外国から日本市場に攻め込む立場に
逆転してしまったのです。


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2001年3月21日(水)

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