第403回
デフレは悪循環をします

通貨の歴史はインフレの歴史と言ってもよいのですが、
たまにはデフレになることもあります。
1929年の世界大恐慌のあと、
アメリカを電源地としてデフレの世の中になりました。
フーバーのあとに大統領になったルーズベルトは
ニュー・ディール政策など、
考えられる限りの智恵を搾って
産業界に刺激をあたえてきましたが、
デフレは長々と続き、
それが終ったのは日本がパール・ハーバーを攻撃し、
第2次世界大戦がはじまってからでした。
デフレは陰険なもので、
1ぺん、その中に落ち込むと、
泥沼みたいに容易には這い上がれないんですね。

70年前に比べると、いまは
国民経済に対する国家権力の影響力も
うんと強くなっているし、
(前回は金本位制の時代でしたから、金の裏づけがないと
 政府は紙幣を発行することもできませんでした)
政策を担当する人々も
昔よりは利口になっているでしょうから、
少しはましなことができると思いますが、
それでも油断はなりません。
特に今回のファースト・バッターがアメリカでなくて、
日本ですから、お手本にできる前例は何もないんです。

不況対策として日本政府は
70年前にルーズベルトが採用した
ケインズの公共投資政策を
何回も何回もくりかえして実施しましたが、
一向に効果は現われていません。

狐や狸の通り路に高速道路をつくっても、
デパートやスーパーの売り上げを
押し上げる力にはならないようです。

人々は景気が更に落ち込んで自分が失業することを怖れて
使えるお金も使わずに貯め込んでしまいますから、
消費は更に冷え込みます。

そいう消費者に物を買ってもらおうと思えば、
もっと良い品をもっと安い値段で
提供するよりほかありません。
すると、人件費の高い日本国内で生産しても
競争になりませんから、
生産基地を外国に移すことになります。
そのために地方につくった工場を閉めてしまいますから、
地方の人は失業してしまいます。
デフレは悪循環をするものなのです。
 


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2001年4月17日(火)

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