第450回
みんながお金を使いたくなる工夫を

よく世界の大富豪とか、
日本の高額所得者とかの名簿が発表されますが、
金持ちがどんなにたくさんのお金を持っていても
タカが知れています。
金持ちの数は少ししかなく、その財産の全部をあわせても
大したものではありません。
工業社会が生み出した莫大な富は広く大衆に分配され、
その1人1人のお金の使い方が
経済の動向を大きく左右するようになったのです。

バブルの時もそうでした。
新しいホテルや競技場ができて、オープニングの時は
お金持ちのオーナーの人が玄関口に立って
入って来るお客さんにいちいち頭を下げていました。
ジーパンにサンダルのあんちゃんやおねえちゃんが
お金を払ってくれなければ、
大きなプロジェクトも成り立っていかないのです。
そのあんちゃんおねえちゃんたちに
財布の紐をしめられたら、
デパートやホテルだってたまったものではありません。

もちろん、若い人の方が中年以上の人よりは
気前よくお金を使います。
生活の負担も少ないし、好奇心も強いし、
飽きるほどの物的な充足感はまだ味わっていないからです。
従ってヤング・マーケットを狙うのが
産業界の定石と考えられてきました。

ところが時代が変わると、
ヤングも含めて社会全体の充足感に変化が起ります。
30年に及ぶ高度成長期をすぎて、
物が溢れるようになると、
人々は不足と欠乏から解放されてしまいました。
欲しい物は金さえ出せば簡単に手に入るようになったので、
有難味がなくなってしまったのです。
それが物が売れなくなった最大の原因ですから、
そうした事情が解消されない限り、
物が売れることによってもたらされる好景気は
戻って来ないと考えるべきです。

ですから景気をたてなおそうと政府が力を入れているのは
間違いだということになります。
みんながお金を使うようにすれば、それでよいのです。
狐か狸しかでないようなところに高速道路をつくっても
政府がお金を使っているだけで、
みんなにお金を使わせることにはなりませんよね。


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2001年6月3日(日)

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