第452回
人間は本来、怠け者なんです

工業化に成功して豊かになった国には
際立った特長があります。
1つは労働力の生産性が農業社会だった頃に比べて
うんと高くなっていることです。
もう1つは、資本主義の国であるにも拘わらず、
労働階級の収入がふえて大衆のお金の使い方が
国の経済を大きく左右するということです。
資本主義の労働者の方が
共産主義の国やただの農業国よりずっと収入が多く、
発言権もあります。
労働価値説というマルクスの考え方は、
資本主義国でうまく成長し、存分に発揮されているのです。

その結果、何が起ったかというと、
人は短い時間、働いただけで
メシが食えるようになりました。
ほんの戦前までは、農民が食べて行くためには
朝から晩まで働かなければなりませんでした。
いまは田圃を掘り起すのも、草刈りも、
収穫脱穀もすべて機械だし、
化学肥料は人畜に害があるといって
敬遠する動きはありますが、
それによって収穫はふえ、
1日中、畑に釘づけにされている光景は
見られなくなってしまいました。

工業生産になると、生産性の向上は日進月歩で、
多くのプロセスで自動化がすすみ、
人間がそばにつきっきりでなくても、
物づくりができるようになっています。
おかげで、人手不足を
オートメーション化で緩和することができただけでなく、
IT化が更にこの傾向に拍車をかけています。
そうなると、労働力の生産性がますます上がり、
少ない人数で管理ができるようになり、
それが労働力を排除する傾向をもたらします。

そのために不景気になると
失業者がふえる数字が目立っていますが、
人間もバカではありませんから、
それ以前から働かないことによって
市場の調節をやるようになりました。
ちょっと働いただけでメシが食えるのですから、
労働時間も短くなっているし、
土曜日曜も休日なら、
さまざまの口実を設けて休みをふやしています。
ちょっと働いただけで、
メシが食えるようになったのですから、
人が働かないのを見ても驚くことも嘆くこともありません。
人間は本来、怠け者が多く本性が
ちょっと出てきただけのことですから。


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2001年6月5日(火)

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