第463回
ツアーはなぜ北京からはじめるのか

中国旅行のツアーは組む時、
私は大抵、北京からスタートします。
どうしてかというと、中国のすべての大都市の中で食事が、
一番まずいところが北京だからです。
ほかの都市からはじめて、打ち上げを北京にすると、
食事を楽しむ人生を送っている人にとっては
ぶちこわしになってしまう心配があります。

北京はその昔、大都とも呼ばれたし、
燕京と呼ばれたこともあります。
明の首都だった南京から首都を北京に移したのは、
永楽帝でしたが、
どういう理由だったのか、私にはわかりません。
満州族出身の皇帝にとっては
自分たちの父祖の地に近かったので、
違和感がなかったのかも知れませんが、
北京は夏暑くて、冬寒く、
春になると黄塵千里に見舞われます。
水の質も悪く、洗濯物を洗ってもきれいに仕上がりません。
水道の水を沸騰させると、コップの底に石灰がたまります。

首都なのに料理が悪いのは、
もしかしたら歴代皇帝をはじめ、その臣下すべてが
田舎者だったことと関係があるように思われます。
国民政府の時代に一時期、
首都は南京に移りましたが、
毛沢東の時代になると、また北京へ戻ってきました。
私がはじめて北京を訪れた時、
毛沢東もよく行ったという
湖南料理屋に案内されたことがありましたが、
美味からは遥かに遠い味つけでした。

そういえば、毛沢東も長沙の田舎の人だし、
何十年も延安の草深いところで
粗食に甘んじてきた集団の大移動でしたから、
美味の識別ができなかったとしても、
決して不思議ではありません。
北京料理は中国四大料理の1つに数えられていますが、
満漢全席を見てもわかるように、
また膳飯庄の料理を口にしてもわかるように
カッコだけで、味はそう自慢したものではありません。
結局、北京ダックと羊肉のしゃぶしゃぶで、
ハイ、いただきましたということになりますが、
故宮と頤和園と万里の長城は一見に値するところでしょう。
信じられないような話題を
たくさん残しているところですから。


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2001年6月16日(土)

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