第480回
掲示板では誰も立ち止ってくれません

40何年前に、新進の直木賞作家として
雑誌や新聞に連載小説を書いていた私が
ふと株式市場に足を踏み込んで、
株式投資にのめり込んだ時がありました。
私は株のカの字も知らなかったのですが、
証券取引所やその周辺にある証券会社を訪ねて、
株のやり方をマスターしようと考えました。

ところが、クロウトとか、
ベテランと言われている人たちの話をきいているうちに、
これは少しおかしいんじゃないかと
思うようになりました。
当時の一流株は日清紡とか東洋紡とか、
東レ、帝人といった繊維株が中心でしたが、
クロウトと言われている人たちは
それらの株の来期の業績がどうなるかと当て込んで
売るか買うかを決めていたのです。

私は産業界は時代と共に変わるものであり、
今日の横綱は明日の横綱ではないし、
いまは下幕か幕下にいても、
明日は横綱になる関取をひいきにするのが
相撲のひいきの仕方ではないかと考えたのです。
そこでベテランの人たちの株のやり方を無視して
日本経済の発展と共に大きく成長する企業を探し出し、
毎週1回、週刊誌で紹介をしたのです。
私はシロウトで、
証券界の人からは冷たい目で見られましたが、
文章は下手な方ではありませんから説得力もあり、
私が推薦すると毎週必ずストップ高をして
株価の位置が大きく変わりました。

おかげで週刊朝日で
「兜町に邱銘柄あり」と書かれて、
たちまち「株の神様」と
冗談半分に持ちあげられたりしました。
以来、私はどんな仕事をはじめるのにも、
専門家の意見をきくよりは、
シロウトの精神を重んずるようになりました。
私が目標としたホーム・ページは
掲示板ではありません。
掲示板はどこにでも立っていますが、
立ち止まって丁寧に読んでいる人なんかありません。
インターネットで
みなにアクセスをしてもらいたかったら、
なるほどと思われる内容でなければなりません。
それもホットな話題であることが必要です。
それが私のホーム・ページの出発点でした。


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2001年7月3日(火)

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