第528回
仕事のアイデアは山ほどあります

もう30年近くも前のことですが、
台湾の台南県というところに工業団地をつくって、
その中に家具の工場を建てたことがあります。
桑沢デザイン研究所の先生に頼んで
椅子の設計をしてもらい、
工場でやとったベテランの職人に見本をつくらせました。
できてきた見本を見ると、
設計図より椅子の脚がずっと太くなっています。

「これじゃ図面と違うじゃないか」
と文句を言ったら、
「あんな細い脚じゃ座ったらすぐに折れてしまいます」
とどうしても譲ろうとしません。
「そんなことは君が心配しなくてもよろしい。
 ちゃんと力学的に計算して設計しているんだから」
 といくら説得しても自分の主張を曲げないのです。
とうとう辞めてもらうよりほかありませんでしたが、
以来、新しい試みをする時は、
古くからの経験者は敬遠して、
シロウト同志で集まって
アイデアを出し合うことにしました。

いまは産業界で選手交替の時期にさしかかっていますから、
私の周囲には
新しい仕事のアイデアが山ほどころがりこんでいます。
全く新しい仕事もありますが、
いままでにあった仕事を角度を変えて
新しくやりなおせば成り立つものもあります。
また日本では成り立たなくなったが、
場所を変えて、台湾とか香港とか、
あるいは、中国でやれば立派に成り立つ仕事もあります。

そういう仕事をスタートする場合、
クロウトを使うか、シロウト集団でやるかは、
仕事の性質にもよりますが、
要領を覚えればできる内容であれば、
私はシロウト集団でやる方法を選びます。
つまりシロウトでもやる気があって、
創意工夫の精神と努力を惜しまないだけの粘りがあれば、
新しい世界を切りひらいて行くことができるのです。
但し、新しければ何でもいいということではありません。
自分の肌に合って、
情熱を打ち込めるような仕事を選ぶ必要があります。
これから、その話をしますので
しばらく私の言うことに耳を傾けて下さい。


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2001年8月20日(月)

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