第541回
中国に味の革命が起っています

日本人の主食が
必ずしも伝統的な日本料理ではなくなってしまったように、
人々の嗜好は変わります。
でも変わるためにはかなりの時間を要しますし、
また変わるためのきっかけが必要です。

たとえば、パン食は戦後になって普及しましたが、
食糧の不足した時代に小麦が援助物資として緊急輸入され、
学校給食で子供たちに支給されたからです。
食い盛りの時期にパンを食べて育てば、
誰だってパン食を受け入れてしまいます。
またラーメンやギョウザは
戦争中、兵隊で中国大陸に連れて行かれ、
休日に占領地の店端で食べた味が忘れられなくなって、
引き揚げたあとに店をひらいたり、
店に食べに行ったりしたのが
とうとう全国的に広がって、
日本人の食べ物になってしまったのです。

日本のラーメンのオリジンは、
もとより、中国にありますが、
中国の湯麺と味付けも作り方も同じものではありません。
日本的な改良が加えられ、
日本人の平均的嗜好にあった淡泊な味になっています。
そして、それが逆に台湾をはじめ、香港や東南アジア、
人々に受け入れられて、
日本ラーメンとしてもてはやされていることは
ご存じの通りです。

そういう食べ物に対する嗜好の変化は
どこの国にも起ります。
しかし、そのためにはかなりの時間がかかるのと、
またそうなるきっかけが必要です。
たとえば、いま中国では
マクドナルドとケンタッキー・フライドチキンが
広く受け入れられています。
味として受け入れられているというよりは
アメリカン・ライフ・スタイルとして
若者の間に定着しつつあると言った方が正しいでしょう。
中国料理に比べて遥かに底の浅い食文化ですが、
それでも次の世代の舌がそれになれるようになれば、
うまいもまずいもないのです。

いま中国で味に革命が起っているので、
人々の嗜好が変わるところです。
新しい料理が割り込める空間が生じていると
私は見ています。


←前回記事へ

2001年9月2日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ