第563回
国境をこえたテロと犯罪の時代に

世界貿易ビルには私も行ったことがあります。
チェイス・マンハッタン銀行の本店に用事があって、
約束の時間より早く着いたので、
一緒に行った家内が
ビルのお向かいの小さな洋品店に入って、
気に入ったブラウスを二枚買って
「ほら、こんなに安いのよ」と自慢しました。
どれどれと私が品物を出してラベルを見たら、
メイド・イン・マカオと書いてあったので、
「わざわざニューヨークまで来て、
 マカオの物を買って帰るの?」と
冷やかしたことがあります。

あのトレイド・センターが
テロの乗っ取った飛行機の激突の犠牲にあって
一瞬にして倒壊してしまったのですから、
私たちの常識を遥かに越えた出来事でした。
戦争ときいてすぐに思い浮かべるのは
航空母艦や戦闘機や爆撃機やロケットですが、
民間機を乗っ取って武器として使うことを
思いつくなんて、窮余の策とは言いながら、
孫子も顔負けの天才的戦略家と舌を捲くよりほか
ありません。

もともと戦略家になるほどの人にとって
人道なんか薬にもしたくないでしょうが、
二十一世紀の戦争がテロによって
幕が切り落とされたことは、
グローバル化の陣痛がどういうものであるかを
象徴しているように思います。
犯罪の多発と国境をこえた拡がりを見せることは
人々の常識となり、いよいよ生命と財産の危険から
身を守る知恵を身につける必要がある時代になりました。

たまたま十年続いたアメリカの好況が天井を打って
反転する時機に事件が勃発したので、
これがきっかけとなって
世界の同時不況がはじまるかのように見えますが、
テロがなかったとしても、
工業生産を牽引車とした先進諸国による富の創造は
一段落するところに来ていると私は見ています。

もう三年も前に私は
「マネーゲーム敗れたり」(PHP刊)という本の中で
何かをきっかけとして
アメリカ型の経済が衰亡するだろうことを
予測していますが
それがアメリカ経済の象徴であるトレイド・センターから
はじまるとは想像もしていませんでした。
テロ対策も難しいですが、
デフレ対策はもっと難しいでしょうね。


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2001年9月24日(月)

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