第567回
消費者に価格決定権が移りました

物の不足した時代は、物をつくれば売れましたから、
価格決定権は生産者の側にありました。
もちろん、生産者同志の競争がありますから、
競争によって品質も向上したし、価格も下がります。
自由競争は経済発展の大きな原動力になってきたのです。

ところが、物があまりはじめると、
価格決定権は消費者の側に移ります。
スーパーは消費者の側に立って、
生産者の決めた価格を破壊する立場だと言っていましたが、
消費者が物を欲しがっていた間、
スーパーは中間マージンの減少分を
量販でカバーすることによって、
利益を確保することができました。
そのスーパーもおなか一杯になった消費者から
そっぽを向かれるようになると、
量販そのものが難しくなりますから、
思うように利益が上がらなくなります。
莫大な借入金を背負って、
過剰投資をしてきたスーパーは
ダイエーやマイカルが
経営困難におちいったのを見てもわかるように、
どこも四苦八苦しています。

銀行が支えているために、まだ何とかやっているのと、
民事再生法の申請をして
事実上の倒産をした違いはありますが、
創業者や社長が退陣すれば、
ご本人たちにとっては永年、
手塩にかけて育ててきた事業を失ったことになります。
一つの時代がそこで終わったのです。

代わって消費者が価格決定権を握れば、
消費者が消費する数量も価格も決めます。
経済環境が悪いために、消費者は財布の紐を締めれば
数量は思うように伸びないし、
同じ品質のものなら値段の安い物を選びます。
物の値段は原価スレスレのところまで
押し下げられてしまいます。
そういう状態になっても、生きのびようとすれば、
生産者は安くつくる工夫をするよりほかありません。
「一体、日本はどうなるのでしょう」
とみな心配していますが、
生産者は物を安くつくれるところに
引越しをすればいいのです。
日本の国が引越しするのではなくて、
生き残りたい人が引越しをすればいいのです。


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2001年9月28日(金)

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