第572回
デフレが世界のお金を中国に追いやる

アメリカの連邦準備銀行は
インフレの心配ばかりしてきました。
好況が続けばインフレになるというのが
常識だったからです。
でもこれだけ全世界に生産能力がつけば、
物価の上昇を心配するより
デフレになることを警戒するところまで
来てしまったと言ってよいでしょう。

強いドルを維持することによって世界中の資金を集め、
株価を高値に維持することによって
アメリカの好況が支えられてきましたが、
バベルの塔がいよいよ崩壊ということになると、
インフレよりもデフレが本格化しますから、
それを引き止めるように躍起になる時がきた
と言ってよいでしょう。

テロによって大きな被害を受けたのですから、
再建が引き金になって
景気の下落を引き止めそうなものですが、
世界貿易センターの崩壊は
恐らく20世紀型の資本主義の終焉を告げる
晩鐘になるでしょう。
インフレで成り立ってきた経済体制が終わって、
これからはデフレの泥沼に足を踏み入れることになります。

デフレになるということは、
需要より供給過剰が常態化するということです。
アメリカはかなり前から自国で物をつくるよりも
輸入して販売した方が有利な環境におかれており、
そのために貿易赤字が年々ふえ続けています。
不況によって消費が減少すると、
需給のバランスが一そう崩れますから、
益々安値なものでないと売れなくなり、
国内生産は常に衝撃を受けるおそれがあります。

それに対応するために、アメリカの資本は
(それが外国から集められたものであったとしても)
お金の儲かる地域へ移動するよりほかなくなり、
コンピューターからコカコーラまで
中国へ向かうことが考えられます。
アメリカもヨーロッパも、
更には日本、韓国、台湾までが
中国に資本を集中させるのが
デフレ時代のお金の動きになってしまいます。
かつて人類史上で考えられなかったことが
いま起ころうとしているのです。


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2001年10月3日(水)

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