第573回
みんなで大損をして再出発

いまお金は逃げ場を失って戸惑っています。
お金は人間よりずっと臆病で、
ちょっとでも心配事があると、
もっと安全な場所を求めて引っ越しをしようとするのです。

ここ十年、世界中のお金がアメリカに集まりました。
安全と有利と、二つの条件が揃えば文句はありません。
アメリカ人はお金の使いすぎで、
外国から買った品物の代金をドルを印刷して
(同じことですが、借金をして)
支払いましたが、ドルを受け取った外国の人が
そのドルをアメリカに持って来て、
株や不動産を買ったり、国債を買ってくれたので、
アメリカの資金に不足が生ずることもなく、
またドルが他の通貨に比べて
目減りすることもありませんでした。
外国からお金が集まってくる限り、
景気は衰退しないですんだのです。

でも経済にはサイクルがありますから、
好景気がそういつまでも続くことはないと、
考えた方が正しいでしょう。
私はそう考えたので、足元の明るいうちに
アメリカの株式市場から撤退することをすすめました。
お金は臆病でもありますが、
目先がきかないという欠点もありますから、
なかなか言うことをきいてくれません。

いよいよどん詰まりに来て、
逃げ場を失ってから逃げ腰になるのです。
戦場になった国からの避難民みたいなもので、
一せいにドッと逃げようとしますから、
安全な国債や外貨は値がハネ上がるし、
叩き売った株では痛手を蒙ります。
株が変調をきたす時は、
よほど事前に避難していない限り、
うまく逃げることはできませんから
「被害者は何も自分だけでないんだから」
と思いあきらめるよりほかありません。

日本の株を持っている人だって、
アメリカの影響を受けて損をすることは同じです。
「みんなで大損をして再出発」というのは
そういうことを言います。
損をしても再出発するだけの気力が残っていれば、
これでこの世の終わりが来たわけではないのです。


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2001年10月4日(木)

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