第600回
没落する生産基地と運命を共にしますか

50年前の敗戦後のことを思い浮べて下さい。
そんなことを言っても、
戦後生まれの人にはわからないことですが、
アメリカ軍から放出された軍服の古着を着て
食うや食わずの生活をしていた日本人は、
付加価値を生む魅力的な財源だったのです。

日本人自身はそのことを認識していませんでしたが、
良質で安価な労働力と弱い通貨は
工業生産の最高の基地だったのです。
世界を相手に戦争をしたくらいですから、
武器を生産できる程度の技術は既に身につけていたし、
それだけの教育水準にも達していました。
戦後、そうした物づくりにたけた日本人の長所を
存分に発揮することができたからこそ、
日本は日本人の先入観を裏切る形で
世界の工業国として発展したのです。

しかし、物づくりにたけているということは
経済的にたけているということでは必ずしもありません。
国内における経済政策も効率の高いものとは言えませんし、
ODAをはじめ、国際的なお金の使い方でも
お金を払った上になめてかかられていることが
しばしばあります。
短い間に頭角を現わしたのですから、
それはやむを得ませんが、
日本人が金持ちになるに従って、
日本人を金持ちにした基礎的な条件が
次第に失われて行きつつあります。

工業化の成功は
日本人を世界で1、2を争う金持ちにしましたが、
それは「良質で安価な労働力」を、
「良質だがコストの高い労働力」にしてしまいました。
また1ドル360円の円を1ドル100円前後まで
強い通貨に変えてしまったので、
日本人の技術はともかくとして、
日本を魅力的な生産基地から、
世界でも最有望の消費市場に変えてしまったのです。
日本は資本の供給国ではあっても、
もはや生産によって富を生む生産基地ではありません。

日本に残された道は、
資本提供国としてうまく機能するか、
でなければ没落する生産基地と運命を共にするか、
2つに1つということになります。
さて、皆さんはどちらを選ばれますか。
よく考えて下さい。


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2001年10月31日(水)

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