第626回
デフレになったら容易には戻りません

不況になると、昔は在庫の山ができました。
昨今はコンピューターで制御するようになりましたので、
在庫の山ができない代わりにすぐ減産になります。
売れない物をつくるよりも
減産した方が損害が少なくてすみますが、
生産設備が稼働しなくなって
損害を蒙ることには変わりありません。

どこの国でも景気のよい時に強気の設備投資をしますので、
不況になると設備を遊ばせることが多くなって、
過剰設備が目立つようになります。
需要より供給能力が大きくなって
いつでも増産のできる体制が整うと、
損を少なくするためにギリギリ一杯、
生産をしますから、いつも物あまりの状態が起ります。
すると、物価は上がるどころか、
下がり気味になってしまいます。

そういう時にスーパーになり、
ディスカウント・ハウスなり、どこかが安売りをはじめると
それがきっかけで乱売が起ります。
経済の成長の続いていた間は、
しばらくすると売上げがまたすぐ元へ戻って
過去より一段と需要がふえたので、
生産者同士でうまく価格の調整ができました。
つまり工業製品の価格決定権はお互いに競争しながらも、
メーカーたちの手中にあったのです。

ところが成長期をすぎてマイナス成熟期に入ると、
消費者が買わなくなって物が売れなくなりますから、
いくらで売るかはメーカーの手に負えなくなって、
価格決定権は消費者の手に移ってしまいます。
消費者は安いほどいいにきまっていますから、
安く提供できる者が現われれば、安い方へ目移りします。
そうしたお客の要求に合わせて
次々と値下がりをして行けば、
これ以上値下げのできない
ギリギリのところまで行きついてしまいます。
つまり儲けのないところまで追い詰められますから、
いままでメーカーの手に入った付加価値の大半が
失われてしまうのです。
日本が不景気になったのは、
日本人が日本製品に食傷して買わなくなったからであって
輸出が不振におちいったからではありません。
これなかなか重症なんです。


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2001年11月26日(月)

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