第627回
メーカーはデイラーに転業させられます

輸出の好調に目を奪われて、
日本国中がバブルにうかれているうちに、
日本が一足先に工業製品の豊作貧乏に
おちいってしまいました。

賃上げによって生産コストが高くなり、
追っかけるように円高になると、
いくら合理化に励んでも、
日本国内で物をつくっていては採算が合わなくなります。
一方、世界の最大のマーケットであるアメリカでは
自分らで物をつくるのは早くから断念して
専ら外国から仕入れるようになりました。
仕入れて販売する側にして見れば、
ドルが値下がりして
仕入れ値段が高くなったのではやって行けないし、
強いドルを維持して行く場合でも、
仕入れ先に経えずコストダウンを強いることになります。

すると、工業製品の最大の供給先である日本は
その要求に応えるために、
より安く生産のできるコストの安い地域に
生産基地を移さざるを得なくなります。
最初の頃は台湾や韓国がその代替地として選ばれましたが、
フォー・ドラゴンと謳われたこれらの地域も
すぐ日本と同じ条件で苦しむようになり、
今度はこれらの地域も含めて、
更に一段とコストの安い地域に
生産基地を動かすことになりました。

東南アジアが一足先に、
続いて中国の改革開放政策が打ち出されるようになると、
今度は中国が生産基地として選ばれるようになりました。
グローバル化がすすんだのも、もとを言えば、
安いコストを求めて
生産資本が国境をこえて動くようになったからです。

生産資本がコストの高いところから安いところに動くと、
コストの安い地域から
コストの高いところに製品が動きますから、
先進国はデフレに悩まされるようになります。
輸入される商品の値段が
自国内で生産するコストより安くなりますから、
自国内でつくったのでは成り立たなくなってしまいます。
残された道は只一つ、安くつくれる所から仕入れて来て
販売業者に転業することです。
デフレが続くと、泥沼のように足が抜けなくなり、
商売のやり方を変えるよりほかなくなってしまうのです。


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2001年11月27日(火)

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