第628回
アメリカの見方が分かれる所です

アメリカでは自国内で工業生産をしても
引き合わなくなると、メーカーが自社生産をあきらめて、
デイラーに変わってしまいました。
はじめの頃は自社製品と同じ仕様を要求して
生産の指導までしましたが、
韓国や台湾のメーカーはわかりが早く、
且つ器用に対応しますから、
面倒なことは一切アジアの国々に任せ、
自分たちは専らマージンの高い販売業者に
まわってしまいました。

人口のある所、消費があり、
メーカーを叩いて安く仕入れれば、
マージンはメーカーよりずっとたくさんあります。
私の知っている靴のメーカーは
広東省で月に百万足の皮靴をつくって
アメリカの有名ブランドに納入していますが、
一足10ドルで仕入れたアメリカの会社は
それを50ドルから60ドルで販売しています。
メーカーの儲けは恐らく一足につき2ドルですが、
デイラーの方は4、50ドルの余裕がありますから、
メーカーなんて阿呆らしくやってはおられないでしょう。

一度、そういう味をしめたアメリカ人は
もう二度ともとのメーカーには戻れません。
しかし、消費者に売り付けることによって
デイラーがしっかり稼げるためにはアメリカの消費者たちに
お金を払えるだけの収入のあることが前提です。

では物づくりから後追いしたアメリカ人に
どういう収入が期待できるのでしょうか。
一つには世界の資本がアメリカに集まっているので、
それらの資本を運用することによって、
「お金でお金を生む」作業が
いつまで続くかということです。
もう一つはITやバイオなどの新技術が生み出す
ニュービジネスがどこまで富を生み出し、
またいつまで続くかということです。

この2つがどんなスケールでどこまで続くか、
もしくはそれに代わる新しい成長産業が
開拓されるかどうかによって
アメリカの経済的な主導権が決まると言ってよいでしょう。
それがそろそろ終わりに近付いているのか、
それともまだまだ長く続くのかは
人によって意見が分かれるところです。


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2001年11月28日(水)

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