第629回
消費者相手の商売は残ります

では日本はどうなるのでしょうか。
日本人には消費者としての面と生産者としての面の
矛盾した立場があります。

消費者としての日本人は、
物は安い方がいいに決まっていますから、
国の経済を救うために
高くてもバイ・ジャパニーズというような愛国心は
発揮しないでしょう。
それに輸入すると言っても、
コストの安い外国に行って生産をしているのも
日本の会社が大半ですから、
そんなに異和感がありません。

しかし、外国でつくられた日本製品が選ばれるとなると、
国内で競争のできるメーカーは
先ずなくなってしまいます。
電機メーカーの本年度の赤字が
合わせて1兆円をこえるということが現実に起っています。
半導体関係の大赤字が主たる原因ですが、
仮にIT景気が戻り足になったとしても、
家電関係がかつての黄金時代を再現することは
先ずないと言ってよいでしょう。

テレビをはじめとして、冷蔵庫、クーラー、
電子レンジなどの家庭電化製品の工場は
ほとんどあますところなく中国大陸に移ってしまいます。
これはオートバイとか、精密機械とか、工作機械とか、
やがて自動車についても起り得ることです。

そうなると、日本のメーカーは
少くとも日本国内にいる限り、
メーカーであることをやめて、
アメリカのメーカーと同じ道を辿らざるを得なくなります。
つまりメーカーをやめて
開発と販売を手がけるデイラーに変身してしまうことです。
ユニクロが何よりのいい例でしょう。
カメラや腕時計やコピーマシンなら
現地に移って生産することができますが、
繊維や縫製なら日本では典型的な斜陽産業だから、
生産や加工は現地に任せて、
企画と販売が一番肝心な仕事として日本に残ります。

但し、そういう場合でも、
従来の日本のデパートやスーパーと
同じことをやっていたのでは生き残れません。
新しい付加価値を生む余地の残っていないところで
商売をすることになるからです。


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2001年11月29日(木)

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