第630回
職人気質が日本人の行動原理です

日本のメーカーもグローバル化とデフレの下で、
アメリカ並に開発と販売の会社に
転身せざるを得なくなります。
それは先進工業国の宿命みたいなものです。

しかし、
日本とアメリカには国民性から言っても、
経済的な生い立ちから言っても、
一緒くたにできないだけの違いがあります。
それはアメリカ人の中に
「お金でお金を生む」ユダヤ的な気質があるのに対して、
日本人は物づくりに熱心な
職人的気質の持主であるということです。

アメリカ人は工業生産をやめても、
農業で食って行けるだけの広大な土地を持っているし、
また金貸しをして利益を生む「ベニスの商人」の末裔も、
「ダッチ・アカウント」に抵抗を感じない
プラグマティズムの信徒もたくさんいます。
だから工業的な物づくりを他人に任せても、
自分たちの資産だけでなく
他人の資産を運用することによって
メシを食って行けるだけのしぶとさを持っています。

それに比べると、
日本人は百姓をするよりもむしろ物づくりに向いており、
それによってアメリカと向うを張るだけの
実績をあげてきました。
物をつくるために日本が駄目なら、
アメリカ本土にも乗り込むし、
安く仕上げるために、
東南アジアから中国大陸までどこにでも行きます。
それも資金と技術を持って困難を嫌わず
ただただ物づくりのために大移動をするのですから、
「バカの一つ覚え」「こけの一念」
と言うよりほかないでしょう。

従ってほかのことでは人に勝てない、
日本人は物づくりにしがみついて
世界中どこにでも動こうとするでしょう。
本当は日本から動くことに
植物に似た強い抵抗を感じているのですが、
グローバル化によって
基地を変えなければならないことがわかったら、
集団を組んで大移動をすることになります。
コスト高とデフレに追われて、
日本人の工業基地が大移動をすることは
ほとんど決定的と言ってよいでしょう。
まさに有史以来の「民族の大移動」です。


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2001年11月30日(金)

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