第631回
景気は戻ると思うな、変わると思え

ビジネスにはサイクルがあります。
ちょうど春夏秋冬があるように、好景気と不景気があり、
それがずっとくりかえされてきました。
戦後の日本で言えば、1年半か2年間、好景気が続くと、
次の1年半か2年間は不景気になり、
もう駄目かと思うと、そこからまた景気が戻って皆、
胸を撫でおろしたものです。

好景気もそうですが、不景気も不思議なことに長くて
2年で終わり、3年に及ぶことはありませんでした。
多分、好景気になると物が売れて不足気味になる。
すると、企業が強気になる準備投資をはじめるけれど、
増産体制ができた頃には過剰生産におちいって
不況におちいる。
しかし、その調整が終わる頃にはまた需要が恢復する。
それが一巡するのに3年から4年かかる経済構造に
なっていたのではないかと思います。
少なくともバブルが絶頂に達した1989年末までは
そういうサイクル通りの動きでした。

ですから、バブルがはじけた時も、
なあに、2年もたてばまた元に戻るだろうと
タカをくくりましたが、
2年どころか、3年目がおわる頃になっても
景気が戻る兆しが見えませんでした。
さすがの私も、今度がいままでと違うぞ、
もしかしから、60年に一ぺんの大不況に
おちいったのではないかと考えなおしました。

そうした視点から見ると、景気は戻るどころか、
60年に一ぺんあるかどうかの大不況で、
悪くすると大恐慌にいちいる可能性すらあります。
それも1929年の世界大恐慌と違って、
工業的な大豊作によって惹き起こされた豊作貧乏ですから、
同業者間の競争が激化してお互いにライバルが潰れるまで
死闘を続けます、
俄に景気が恢復して更に生産が拡大することなど
とても期待できないのです。

ジャーナリズムの論調を見ていると、
「景気の恢復が遅れている」
と書かれていますが、私に言わせると、
「景気は恢復すると思うな。変わると思え」
というのが正確です。
世の中が変わりつつまるのですから、
また元へ戻ることはないと考えて手を打たなければ
生きられないのです。


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2001年12月1日(土)

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