第632回
景気不景気の舞台が拡がりました

「景気が戻ると思うな変わると思え」
と私は言いましたが、変わるとしたら、
どういう方向に変わって行くのでしょうか。

先ず景気不景気を左右する舞台そのものが
昔と変わってしまいました。
これまでの舞台は国民経済を単位としたものであり、
日本とアメリカ、あるいは日本と韓国、日本と中国は
それぞれ違う動きをしていました。
国と国との間のモノやカネの往来は
きびしく制限されていたので、
それぞれ独自の動きをしていたのです。

戦後、自由主義諸国の間では
相互の行き来が次第に解除されるようになりましたが、
それでも輸出入はきびしく統制されており、
高い関税率で障壁になっていました。
しかし、方向としてグローバル化に向っていることに
変わりはありませんから、
どこかの国で起ったことが
他の国にも波及することは避けられなくなっています。

テロによる世界同時不況の発生はそのよい例でしょう。
今日のように航空網が発達するようになると、
トレイド・センターが崩壊するのを見ただけで
観光客が一挙に減少してしまいます。
旅行社の話によると、アメリカへのツアーは7割減、
ヨーロッパへのツアーは3割減、空席のまま飛ぶよりは
往復3万円の安い料金でも旅客を集めようとしますから、
日本、台湾、香港のエアラインは
軒並み大赤字に転落してしまいました。
アメリカのエアラインに至っては
倒産寸前というのが続出しています。

当然のことながら、ホテル業もピンチにおちいります。
その代わりアメリカやヨーロッパに観光旅行に行く人たちが
行き先を変えるので、
国内旅行が逆にふえて
京都とか温泉地が人で賑わうというおまけもありました。
アジア向けの旅行客はすぐに恢復して
キャンセル待ちでないと日程の変更もできない
という異変も起っています。

地球が狭くなった証拠です。
人の動きだけではありません。
アメリカで人々が財布の紐を締めにかかったら、
日本だってヨーロッパだって、
直ちにその影響を受ける時代になったのです。


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2001年12月2日(日)

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