第633回
工業化がビジネス・サイクルを変える

1929年の時にも
ニューヨークを震源地とする世界大恐慌が起っています。
それから60年たって
日本のバブルの崩壊がはじまりましたが、
日本が不況におちいってそのまま立ち直れずに
10年の歳月がたってしまいました。

その一方で、これまた3、4年のサイクルの
景気循環をしていたアメリカで
好況が10年続くという奇跡が起りました。
いずれも従来の経済理論では説明のつかない新しい現象です。
アメリカの専門家の中にはビジネス・サイクルの
コントロールがよくなったことを自慢して、
ニュー・エコノミーと呼び、
もう景気循環はなくなったのだと主張する人もいましたが、
IT関係の新技術がもたらした好景気が
10年続いたと見た方が正しいでしょう。

やがてそのゲームにも終わる時が来るだろうと
私は思っていましたが、
それが時期的にテロと重なったので、
不況をテロのせいにすることは
できないことではありません。
でも日本の大不況が10年続いたことも、
またアメリカの好景気が10年に及んだことも、
テロとは無関係に、
経済の構造が農業から工業にウエイトを移したことに
起因していると私は見ています。

戦後の世界でいち早く工業化に成功し、
国民経済の中で工業の占めるパーセンテイジが
一番大きくなったのは日本です。
メイド・イン・ジャパンは
世界中で名声を博するようになりましたが、
その日本製品を一番たくさん消費しているのも日本人なら、
食傷してもうたくさんだと思うようになったのも
日本人です。
物を一番たくさんつくった日本人が一番早く不況に突入し、
一番長く不況に苦しめられるようになったのです。

情報化社会はアメリカからはじまりました。
情報機器やソフトが一番発達し、
企業や家庭にいち早く採り入れられたのもアメリカです。
そのおかげでアメリカの好況が10年持続しましたが、
それが限界に達すれば、
もうたくさんだとアメリカ人が思う時が必ずきます。
以前考えられなかった新しい大不況は
工業化がもたらした新しい現象と
見ていいのではないでしょうか。


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2001年12月3日(月)

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