第634回
貿易自由化まで長い時間がかかりました

1929年の大恐慌の頃は
世界中の国々が金本位制を採用していました。
金が正式の通貨であり、
紙幣を代わりに通用させたのは、
その裏付けになる金が国の中央銀行に貯蔵されていて、
いつでも紙幣を持って行って
金貨、もしくは金地金と
交換できる仕組みになっていたからです。
金の裏づけがなければ、政府といえども、
中央銀行に紙幣を勝手に印刷させることは
できなかったのです。

従ってどこの国でもその国の保有金貨が減少することには
極端に神経質になっていました。
或る国がよその国との貿易で大赤字になり、
その決済を金地金でやらなければならなくなると、
物流している紙幣を引き上げなければならなくなり、
物価が下がって不景気になります。
反対に黒字が続けば、通貨はふえますが、
物価が上がってインフレになってしまいます。

どこの国でも、金の流出を防ぐために、
貿易尻が赤字になりそうになると、
あわてて関税率を引き上げたり、
輸入を禁止して、輸入を抑えにかかります。
外国の方が物が安いから安い物を買いたいと思っても、
どこの国も自分の国の都合を優先的に考えましたから、
モノの動きは国境の高い壁に遮られて
物価を平均化することができなかったのです。

しかし、交通の手段が発達して、
モノの運搬が容易になると、
物価に大きな差があればあるほど密輸が盛んになりました。
金本位制ではふえ続けるモノの決済に間に合わなくなり、
さまざまのトラブルに見舞われましたが、
最終的にはそれぞれの国の政府にコントロールされた紙幣が
流通するようになりました。

すると、通貨と通貨の交換レートをどうするかという問題が
たちまち起ってきます。
最初の頃はどこの国も固定相場制をとり、
一定のレートで交換が成立しましたが、
通貨の弱い国は交換を制限しなければ、
お金に逃げられて
その国の通貨が成り立たなくなってしまいます。
お金の支払いができなければ、
モノも自由に動けない時代が長く続いたのです。



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2001年12月4日(火)

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