第642回
ブルー・カラーの人材派遣も専門化の時代

いま日本の会社は肩の荷を軽くするために
クビ切りをしています。
少し前までは新規採用は見合わせる、
退職者の空席は補充しないという方針で
人減らしをしてきましたが、
それでは間に合わなくなったので、
従業員を積極的に削減する方向に動いています。

その際、人件費を減らすために、
給与の高い中高卒年齢層を辞めさせる
奨励策を講じていますから、
もはや定年まで1つの会社に勤めるという
終身雇用制も崩壊してしまったし、
年功より職務給に
給与体制を切り替える会社もふえていますから、
年功序列給も有名無実化しつつあります。
人手不足の時代は社員に辞められたら大へんだとばかりに
あれこれ対策を講じていましたが、
いまは辞めてくれた方が助かると思っていますから、
辞めたいと言われても引き止める人はいません。
日本的経営を支えてきた雇用制度は
自然崩壊する道を辿っているのです。

そのために人手不足が生じた場合も、
生産工場は正社員の採用は最小限におさえて、
人材派遣業者から派遣工員を受け入れる体制に
切り替えています。
派遣工員なら、自社で雇うより毎月の支払いは高目ですが、
昇給について談合をするわずらわしさもないし、
退職金の心配もしなくてすむし、
また健康保険や税金の計算もしなくてすみます。

雇用にともなう厄介な面倒は
すべて派遣会社が肩代わりしてくれますが、
技術や熟練を必要とする工程はどうするか
という問題は残ります。
殊に先端技術を必要とする分野では
臨時工ではつとまらないというのが常識でしたが、
最近ではそういう工場を定年退職した技術者や工場長が
派遣会社に移籍して、チームの長になり、
チームごと工場に派遣されるようになりましたから、
派遣会社の専門化がすすみました。
ホワイト・カラーの派遣よりも、
ブルー・カラーの派遣業務が難しいけれども、
その分だけお金になるようになったのです。
お茶汲みや電話受付けだけが
人材派遣の仕事ではなくなったのです。


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2001年12月12日(水)

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