第643回
正社員になる魅力はなくなりました

会社の正社員になれば、
これまでは身分も保証されたし、給与も多かったし、
定期昇給や退職金の恩恵を受けることもできました。
だから、できるだけ良い大学を出て、
できるだけ良い会社に就職するのが
サラリーマンを目指す人たちの目標でした。
いまだってその道が
完全にとざされてしまったわけではありません。

会社側がそういった負担に耐えきれなくなって、
派遣社員ですませるようになったのは最近の傾向です。
会社を解雇された人や失業者が派遣会社に就職することは
考えられることです。
でも若い人で、一流企業に就職できるかも知れない人でも、
正社員になろうとは思わず、
はじめから人材派遣会社の門を叩く人も
結構たくさんいます。
どういう心理でそういう選択をするのだろうと
年配者は首をかしげるでしょう。
でもいまの若い人は、
何も無理して一流会社につとめなくとも、
働きたい時に働いて、適当にお金を貯めて、
どこかへ旅に出たくなったら、
いつでも仕事がやめられたら
それでいいじゃないかと考えます。

そういう考え方をするようになったのは、
苦労を知らないからだと言うこともできますが、
世の中が豊かになって
社会のランクがもう1つ上にあがったからです。
無理をしなくともメシが食えるようになったら、
人間はお金のあとばかり追う動物でなくなります。
少々まずいメシであっても
おなかの空く心配がなくなれば、
もっと出世がしたいと考える人ばかりではありません。
心の飢えをどうやって充たすか、
また心を満足させるためには
どうすればいいかを考える人がふえます。
そういう人は報酬よりも
自分がやり甲斐があると思う職業を見つけようとする人と、
職業よりも自分がやりたいことをやれればいいと
思う人とに分かれます。

どちらも報酬を最優先に考えていないことでは
共通しています。
これも社会が1ランク上がった証拠です。
終身雇用や年功序列給で釣っても
もう効目のない時代になったのです。


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2001年12月13日(木)

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