第650回
年寄りのふところを狙うのが関の山

先ず仕事が少しずつなくなります。
町工場のように中小企業なら、得意先からの受注が減って、
気がついて見たら昨年の半分になってしまった
といったことが起ります。
家族労働だけでやっている町工場なら、
まともに月給が払えなくなっても、
何とかやりくりができますが、人を使っている場合は、
やめてもらうよりほかなくなります。

設計図を書いたり、原稿を書いたりする仕事でも、
依頼が少なくなって収入が半分にも、
それ以下にも減ることが起ります。
才能とか人気で成り立っている仕事は、
本人の才能や人気が時代に合わなくなれば、
業界が隆盛な時代でも浮沈はありますが、
昨今のように出版界全体の斜陽化が激しくなると、
一握りの人気タレントを除いて、
全体として分け前が減ってしまいます。

オールド・エコノミーに属するメーカー業界は、
製鉄や造船のみでなく、
家電やカメラや腕時計の業界も含めて
過剰生産のただ中におかれていますから、
生産基地が外国に移るか、
市場をコストの安い輸入品に奪われています。
地方工場は閉鎖、本社工場は減産に追い込まれますから、
再就職先を同じ業界で見つけられる可能性は
少ないでしょう。

コンピューターのようなIT産業は
技術革新とマーケットの拡充が一巡して、
減産と値下がりにおちいっているので、
有力メーカーが軒並み赤字に見舞われて、
好況期に海外につくった生産工場を閉鎖しています。
恐らくこれは目先にとらわれたリストラ策で、
移転先を再検討する必要はありますが、
グローバル化の波に乗ることを考えなければ、
日本はドイツと同じように、実力を持ちながら、
先端産業の業界から脱落する危機にさらされています。

どれを見ても仕事の減る方向ですから、
日本人は新しい仕事場を探さなければなりません。
国内に残る仕事といえば、
料理と皿運びと年寄りの面倒を見る仕事くらいなもので、
狙うとすれば年寄りのふところということになります。


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2001年12月20日(木)

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