第682回
円安は景気恢復のブレーキになるかも

昨年の師走から円安傾向が数字にはっきりと出てきました。
1ドル110円台だったものが130円台にのせると、
アジア中の輸出入と関係のある国々が
とても神経をとがらせます。
台湾とシンガポールは追うようにして
切り下げに走っていますが、
香港のように長年、米ドルにリンクされてきた通貨と、
人民元のように政策的に米ドルにリンクしている通貨では、
円安に対して異常な不安を抱えており、
決して好意的に事態を見守っているわけではありません。
円が150円に近づいたり、もっと安くなろうものなら、
中国も黙ってはいないでしょうし、
現に中国政府のスポークスマンが
何回も警告に及んでいます。

日本が円安に動いたのは
(同じことですが円安になるのに対して
 日銀が何の手も打たなかったのは)
構造改革で大した成果をあげられなかった小泉内閣が
最後の手段として
円安によるインフレ政策に転じたからであり、
日本の景気恢復が思うようにはかどらないのを見て
アメリカがそれを黙認したからです。
円安になったところで
輸出がGDPの10%しか占めていない国で、
そう輸出がふえるわけもないし、
また同じように輸入が少ない日本で
輸入がこれ以上減ることも考えられないからです。
近隣の国々がはた迷惑を蒙るだけだと
香港の新聞もきびしい見方をしています。

確かに円が10%や15%安くなったからと言って、
輸出の主流をなす生産設備パーツの類に対する注文が
ふえる可能性はあまり考えられません。
また中国や東南アジアからの完成品輸入に
ブレーキをかけたところで、
半分以上安い海外製メイド・バイ・ジャパンや
OEM製品の輸入に歯止めがかかるとも思えません。
問題は国内の消費不足に原因があるのですから、
予算の緊急引締めや輸入品の値上げでは
景気に対してむしろ逆効果に終わることになるでしょう。
円安になれば、輸入牛肉の値段は上がるでしょうが、
狂牛病よって
ハンバーガーや牛どんの売れ行きが落ちている時ですから、
国産牛肉の値段を押し上げることにはならないでしょう。


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2002年1月21日(月)

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