第694回
日本のゼネコンでは歯が立ちません

いま日本は不景気のどん底であえいでいます。
その中でも最も苦しんでいるのは銀行業と保険業、
もう一方はゼネコン業と不動産業です。
銀行業は貸したお金の回収ができず、
不良債権を山と抱えています。
保険業は手持ち財産が値下がりした上に
投資の利回りが悪化して
保険加入者に約束した配当金を
支払えなくなっているからです。

それに対してゼネコンは
仕事がなくなった上に手持ち資産が減価して
元本の返済はおろか、借入金の利息すら
払えなくなっています。
不動産業に至っては
手持ち資産が大幅に値下がりした上に、
新規物件の売り出しが思うように進まず、
借入金が資産を遥かにオーバーして
利払いにも難渋するようになっているからです。
当然のことながら、
どこの会社でもリストラに着手し、
過剰人員の整理に力を入れています。

私が
「定年退職をした人で過去に体験した技術を
大陸で生かしたいと思う人はいませんか、
いたら再就職先の世話をします」
と呼びかけると、不思議なことに、
工場の現場で働いた人の反応はあまりなく、
工事の現場や不動産販売の第一線にたずさわってきた人が
わっと応募してきます。
不景気の深刻さがどういう分野に起こっているか、
いやでもわかってしまいます。

では日本のゼネコン業界で働いていた人や
不動産業で働いていた人の経験が
そのまま成長過程にある中国で役に立つかというと、
残念ながらイエスと答えるわけには行きません。
大陸ではビルラッシュがいまも続いているし、
大規模な公共投資もはじまっているのですから、
日本のゼネコンが中国に進出して
活躍しよさそうなものですが、
日本の一流ゼネコンや不動産会社で、
中国で大成功をおさめている例はあまりありません。
中国の政府が外国ゼネコンの仕事を
きびしく制限しているせいもありますが、
日本式の請負体制やコスト計算では
中国の同業者にとても太刀打ちができないからです。
いい工事をすることと採算を合わせることは
また別なんです。


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2002年2月2日(土)

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