第746回
リストラをすれば景気は一段と悪化する

日本の戦後の企業経営は
自己資金よりも借金経営を主流としてきました。
一頃は大企業でも自己資本が総資本の15%という
心細いやり方でしたから、
税制の改革に関与した
シャープ勧告のシャープさんをはじめ、
多くの外国人経済エキスパートが
自己資本の充実をアドバイスしました。

でも税法上、借金でやる方が有利でしたから
耳を傾ける人はほとんどありませんでした。
借金の利息は経費として計上できますが、
自己資本だと、配当金に支払うお金は、
利益の中から約半分に及ぶ税金を支払った
残りの中から捻出する仕組みになっていたからです。
自己資本をなるべく小さくして、
借金をその何倍もにした方が、
1株あたりの利益を高額に維持することができたのです。
高度成長によってインフレが進行していたあいだ、
不動産の値上がりが
借金の利息を帳消しにしてくれたので、
借金の多い会社ほど優良会社に見えました。

ところが一転してデフレが主流になると、
借金は減らないのに不動産などの資産が
ドンドン値下がりをします。
景気の恢復を期待して
利払いのための追加融資を続けてきた銀行も
遂に限界に達してしまい、
借金を抱えた企業も債務の切り捨てをしてもらうか、
それとも倒産するかのギリギリのところまで
追い込まれてしまいました。

かつて企業のメリットになっていたことが
いまではすべて逆に作用するようになり、
借金の大きい企業ほど
四苦八苦する時代になってしまいました。
借金を減らすためには
資産を売却するよりほかありませんが、
肝心の資産が値を下げたまま
値さえつかないのです。
その上、本業が不況におちいって
業績が悪化していますから、
どこの企業でも人減らしをしています。
1社につき何千億円という赤字になっているのは
本業の損失の上に
何千人という人員整理の退職金が
計上されているからです。
人をやめさせたら、
景気が立ち直るきざしが
見えてくるわけではありません。


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2002年3月26日(火)

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