第757回
お金になるアイデアが少なすぎるのです

高度成長の時代は銀行がお金を貸してくれたので、
資金需要の旺盛な成長企業は
銀行から資金の供給を受けて事業の拡張ができました。
また一定のスケールに到達すると、
株を上場して株式市場で資金の調達ができたので、
資金の不足に悩まないですみました。

それに比べると、
いまは銀行が中小企業にお金を貸してくれなくなって、
志ある創業者はどうやって資金を集めたらよいか、
途方に暮れていると考える人がおります。
しかし、昔は銀行がお金を貸してくれたと思うのは
間違いで、昔も銀行はお金を貸してくれなかったのです。
お金を貸す立場の人は、
貸したお金が回収できないことが心配ですから、
いつだって貸し渋るのです。
銀行がお金を貸すようになるのは、
誰が見てもお金が儲かるようになって、
お金が焦げつく心配がなくなってからです。
いまはお金を貸してやれないと言われれば
それでおしまいですが、
昔はどうしてもお金を借りる必要があったので、
事業を興す人たちには
事業に打ち込むのと負けないほどの時間を
銀行からお金を借りるために費やしたものです。

いまは社会全体が金持ちになったし、
ベンチャー・キャピタルも
虎視眈々とお金の儲ける事業を探しています。
いい事業といい企業家が少ないことにむしろ問題があって、
有限な投資先さえあれば、
資本の調達にはさして困らないでしょう。
私の見るところでは、
大資本を要するような業種はほぼ飽和状態に近づいていて、
そのスキマを埋めるような形で
新しく興ってきたビジネスは、
情報とかサービスの分野がそうであるように、
資本よりもアイデアや技術といった知恵によって
もたらされるものが多いようです。

もしお金をもたらすようなアイデアか技術であれば、
スポンサーがすぐにもつきます。
自分のすぐれた能力が
なかなか世の中に受け容れられないと言って嘆く人は
いつの時代にもいるものですが、
本当はお金にならないアイデアや技術であることの方が
多いのです。


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2002年4月6日(土)

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