第766回
仕事は二通りしか残っていません

元手がないと仕事がはじまらないと言いますが、
高度成長期と成熟社会では手がける仕事が違います。
私が成長株を手がけた昭和30年代の中頃は、
石油化学とか、自動車とか、音響機器とか、
スーパーとかが花形産業でした。
どれをとっても、一つの事業として成り立つためには
巨大な資本が必要でした。

いまは自動車メーカーをはじめようか、
家電メーカーをはじめようか、
という人は1人もおりません。
ピアノをつくろうか、オートバイをつくろうか
という人さえ1人もいなくなってしまいました。
物づくりは、僅かの例外を除いて、
新規にはじめる分野がなくなってしまったのです。
巨大な資本を必要とする仕事がなくなってしまったので、
新しく仕事をはじめる人は
資本の心配をしないでもすむようになりました。

では仕事がなくなってしまったかというと
そんなことはありません。
時代が変われば始める仕事も変わります。
いま独立してできる仕事はレストランからソフトまで
いずれもサービス業か、
それにまつわる小規模な流通業ですから、
小資本からスタートできます。
問題は
それが社会から受け容れられるものであるかどうかであり、
小さくてもお金を払ってくれる人がふえれば
大企業になります。

もう一つは国際間のコストの差を狙う仕事ですが、
これは外国の事情に精通しなければ
手を出すことができません。
お金も或る程度必要ですが、
よその国の物を買ってきて日本で売るとか、
日本にある物をよその国に持っていって売れば
成り立つという仕事ではありません。
炊き上がったご飯をお椀に盛って食べさせる話ではなくて、
よその国のどんなお米を選んでどんな炊き方をすれば
自分の国のお客に喜んでもらえるかという所から
はじめなければなりませんから、
2つ以上の国にまたがって
双方の事情に精通する必要があります。
そのための勉強は
自分の知らない国に行くことからはじまります。
日本人は中国に行き、
中国人は日本に行かなければならないのです。


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2002年4月15日(月)

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