第779回
ホリデイをたのしむなら揚州へ

揚州は中華料理に馴染んだ人なら
「揚州炒飯の揚州ですか」とすぐピンと来ます。
中華のメニューをひらいて、
一番うしろの甜点(デザート)の一つ前を見ると、
麺とか河粉(お米でつくったひもかわ状の麺)とか
炒飯が列記されています。
シンガポール米粉とはカレー味のビーフン炒めのことだし、
揚州炒飯とは肉と卵で炒めたチャーハンのことです。

そういうことが頭にあるので、はじめて揚州を訪れた時、
料理屋で「揚州炒飯ありますか」ときいたら、
「炒飯はありますが、揚州炒飯はございません」
と言われたことがあります。
考えて見れば、揚州の人が自分たちのふだん食べている物に
わざわざ土地の名前をつけるわけがありませんものね。

今回はいつも泊まる西園賓館に宿をとって
夕食はすぐお隣りにある揚州賓館まで
歩いて食べに行きました。
揚州料理は淡い味がベースになっていて
如何にも洗練されているという印象を受けます。
あまり油っこくないので年寄り向きという面もあります。
獅子頭という中国風ハンバーガーも、
また粉糸という堅豆腐を細かく千切りにして炒めた料理も、
広く中国人に親しまれている
この土地の名物料理と言ってよいでしょう。

歴史を繙く人なら誰でも知っていることですが、
揚州は塩の売買で栄えた町で、
塩で財をなした富豪たちがスポンサーになって
書画の奨励をしたので、
揚州八怪と称される有名な文人墨客が排出されています。
そのなかには鄭板橋といった画家でもあり、
また書家でもあった文人の作品が博物館に飾られています。
それだけに街全体にふぜいがあり、落ち着きもあります。
お昼を食べに行った富春茶社の料理にも
伝統の美味がありました。

その代わりここには新しい時代を切りひらく
「世界の工場」を目指す産業界の息吹は感じられません。
上海から西へ西へと延びている工場地帯は
不思議なことに揚子江に遮られて北には伸びないのです。
仕事は南でやって、ホリデーをたのしむなら、
車ごとフェリーに乗せて揚子江を渡ればよいのです。


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2002年4月28日(日)

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