第780回
日本の半分のコストで物がつくれます

揚子江のことを中国人は長江と呼びます。
中国で一番長い河という意味です。
河だから橋をかければいいのですが
(現に南京には中国で一番長い橋がかかっていますが)、
揚子江の北と南では産業も雰囲気もガラリと変わります。
河をフェリーで渡って南岸に戻ると、
一大工業地帯が上海から西へ西へとひろがっているのが
いやでも目につきます。

その中にあって、無錫は太湖に臨む歴史の古い町で、
かつて越王勾賎の軍師をつとめた范蠡が
絶世の美人西施と共に暮らしたといういわれのある町です。
ここの湖浜飯店というホテルのレストランは
私のひいきにしている無錫料理の美味しい店で、
いつもは町中の無錫大飯店に泊まって
わざわざ車をとばして食事に行ったのですが、
今度こそこのホテルに泊まって
ゆっくり食事をしようと思ったら、
部屋を大改造中なのでと断られ、
太湖の見える太湖飯店に宿を変えました。
雨の中をそれもすっかり暗くなってから到着したのですが、
意外にも5つ星の豪華なホテルで、
この次もここにしようかと考えるようになりました。

ホテルに荷物をおくと、
すぐまたバスに乗って湖浜飯店に駆けつけたのですが、
期待を裏切らない素晴しい晩餐でした。
無錫排骨という骨付豚肉は全国的に知られたものですが、
白魚の料理も、面筋という麸の料理もここの名物です。
魚という揚子江の河口でとれる魚は美味で高価な物ですが、
皆が食べ残したのを見たら、
地元の人はきっと「勿体ないことをする人たちだなあ」と
あきれてしまうに違いありません。

ここには先端産業の団地もあり、
外資企業が1300社も進出しており、
そのうち日本企業は3分の1を占めています。
1ヶ月ばかり前に操業を開始したばかりの
松下の電池工場を見せてもらいましたが、
日本で生産する約半分の値段で
日本と全く同じ物ができると説明を受けました。
ここへ進出した企業の責任者たちはいずれも
「日本はどうなるんでしょうね」と心配しつつも、
大いに張り切って仕事に打ち込んでいます。


←前回記事へ

2002年4月29日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ