第796回
驕る自動車メーカーも久しからず

日本の自動車メーカーはトヨタもホンダも
創業以来の好成績をあげています。
日産も出直ってからやっと強気の経営に転じ、
アメリカにおける積極的な投資を再開しています。
この3社を見る限り、
不況なんてどこ吹く風かと思いたくなりますが、
そのかげにかくれて
アメリカのビッグ・スリーは軒並み赤字だし、
日本の他のメーカーも、三菱自動車、マツダをはじめ、
トラック・メーカーからバス・メーカーまで
大へんなピンチにおちいっています。
ヨーロッパでも旗色のいいのと、悪いのに二分されて、
旗色の悪いメーカーは身売り話の火中におかれています。

それはどうしてかというと、
自動車はいまや生活必需品ですが、
自動車の生産設備は激甚な競争に曝されて
拡大また拡大を続け、
自動車の実需に対して
ザッと倍の生産能力を持つようになったからです。
自動車はどこにでも走って行けるということもありますが、
恐らくグローバル化の先端を切る
国際商品と言ってよいでしょう。
従って最初から国境をこえて世界的規模で競争をします。
優勝劣敗も世界的規模で起ります。
韓国の自動車メーカーが真先にピンチにおちいったのは、
韓国のメーカーが最も脆弱だったからです。

しかし、トヨタやホンダが
空前の好業績をあげたからと言って
安心してはおられません。
世界的規模で競争するのですから、
再びビッグ・スリーに巻きかえされるおそれもありますし、
またデフレがアメリカにまで浸透して、
世界的な不況が長期化することも考えられます。
万一、自動車メーカーが家電メーカーのように
安売り合戦をするようになったら、
自動車業界が家電業界のような目に
あわされないとも限りません。

それを避けようと思えば、
世界中の大メーカーが
生産調整のために談合をするよりほかありませんが、
そんなことがはたして可能なのかどうか。
世界はまだ経験したことのないことを
これからも次々と経験させられるようになると思います。


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2002年5月15日(水)

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