第804回
マイホームよりマイカーが先です

人口の多い所で仕事をしたり、
株を買ったりする時は、
人口の多いことがもたらす変化を
勘定に入れる必要があります。
前にもふれたことがありますが、
私の友人が上海で婦人服のメーカーをはじめ
全国にフランチャイジーも含めて
約3百軒の店舗をつくりました。
1年に3回、上海で展示会をひらいて新作の披露をし、
予約をとっています。
評判のよいデザインには
1点だけで5万5千着もの注文が入るそうです。
日本でもファッション業者の展示会は常識ですが、
1枚のコートに3百着か5百着も予約があれば、
大へんな入りだったということになるでしょう。
それが十倍どころか百倍ということも起りますから、
人の数で勝負ができるということになると
勝手が違ってしまいます。

自動車に人気が集まり、
本格的なマイカー・ブームに火がつくと、
まさに国全体に大きな変化が起ります。
日本やアメリカが大不況に見舞われても、
その分、生産基地が中国に移りますから、
中国では仕事がふえ、それによってもたらされた付加価値が
中国で働いた人たちに収入をもたらします。
年収が5百ドル、千ドルといった段階では
やっと食費のほかにお小遣いがふえた程度ですが、
千5百ドルをこえるようになると、
皆、お金の有難さが身にしみるようになって、
主義や思想の話をする人がうんと少なくなってしまいます。
「向前走(前に向かって進め)」
というのが
「向銭走(お金に向かって進め)」
と向きをかえるようになって、
国全体が金儲けに夢中になってしまうのです。

中国では平均的サラリーマンが
マイカーやマイホームを手に入れるだけの収入には
まだ到達していません。
でも心はもうそっちに向かって走り出しています。
人より一足先に金持ちになった人だけが
それを享楽していますが、
やがてそれが大都会からはじまって
全国的な傾向になることは目に見えています。
日本においてもかつてそうだったように
中国でも若い人は
マイホームよりマイカーを先に選ぶことでしょう。
すると、自動車株を買えということになるのでしょうか。


←前回記事へ

2002年5月23日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ