第823回
亡命者にも日本人にもいい教訓でした

天安門事件の時も、反政府分子として
かねてから中国政府に睨まれていた
民主運動の指導者たちはアメリカ大使館に逃げ込みました。
アメリカ大使館は亡命者の扱いになれているので、
大使館内にかくまった上、亡命者として
アメリカに移住させるはからいをしてくれました。

中国政府と反政府分子のどちらが正しいか
ということではありません。
身に危険が及ぶと自覚して
大使館に駆け込んだ人をかくまうことが
人権を擁護する国の人として
当然やるべきことだと信じているからです。
ところが、日本人にはそういう感覚がありません。
共産党だって政党として公認されているし、
議会や新聞紙上で
時の権力者の悪口を言うことだってできるお国柄です。

どこの国でもお役人さんはその国の体制の使用人です。
体制に反するような言動は許されていません。
日本の場合もその例外ではありませんが、
言論の自由がある分だけ、
お役人さんは攻撃の対象になることを怖れます。
よけいなトラブルにまきこまれないように保身することが
先ず第一で、
大使館や領事館に
亡命者が駆け込んだらどうするかを考えずに、
亡命者が駆け込まないようにすることを考えます。
阿南駐中国大使が
「亡命者が駆け込まないように注意しろ」
と訓示をあたえたと新聞は報じていますが、
さもありなんと私なら別に驚いたりしません。
それが日本のお役人さんの体質だということを
よく知っているからです。

私なら日本の大使館や領事館に駆け込みませんが、
不幸にして北朝鮮の人は国際事情に暗く、
日本とアメリカやヨーロッパの国々との区別も
つかなかったのです。
今度の瀋陽総領事館の事件は5人の亡命者を
フィリピン経由で韓国に送り込むことで、
一件落着に近づきましたが、
日本外務省の体質をさらけ出して見せることになりました。
日本大使館に駆け込んで、
こんなにヒヤヒヤな思いをするくらいなら、
もう日本大使館に逃げ込むのはやめたということになれば、
日本の外務省も厄介払いができたと言って
胸を撫でおろすかも知れません。


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2002年6月11日(火)

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